2020 マイベストアルバム 10

はじめに

年末になると、世の音楽好きが年内に聴いたアルバムのベストランキングをこぞって作り出す。あれを私もやりたい。
listening-log.hatenablog.com
↑こういうの


ということで今回の記事は、私が今年聴いたアルバムのうち、2020年リリースのアルバムに絞ってベストランキングを組みたいと思います。なんで2020年リリース限定かというと、どの年リリースでも可にしちゃうと、毎年「Cosmogramma - Flying Lotus」が一位になるクソおもんない記事シリーズができてしまうからです。

とはいえ、普段私が音楽を聴くときはどの年にリリースされたかなんていうのはあまり気にしないタチであるし、なんならレコード屋で中古のCD買い漁るのを嗜みとしているので(おこづかいにも優しいし)、2020年にリリースされたアルバムという情報を意識して聴き始めたのは、それこそこの記事シリーズを始動させようとした数週間前からです。こんな姿勢で大丈夫でしょうか。ランキングに入るアルバム候補探しているときに、度々「え!これ2019年リリースかよ!」とかほざいていたので大丈夫じゃないです。

そもそもこういうのって、もっと月末に近い日にやった方が良かった節ある。今日から大晦日までにリリースされる音源とか自動で選外になっちゃうじゃん。
なんで月の最初の方にこの記事公開しようって決めちゃったんだろ。そもそもこんなこと考えてる時点で、別にこの時期に公開するぞ!なんて義務ないのでは。

いや、ある。
それはこの記事は「オモゐデ漁船 Advent Calendar 2020」用に作った記事で、公開日を自分から月の頭に設定したからなんですね。
adventar.org
よし、自然な流れで参加企画の紹介ができたな!


私のTwitterのフォロワーならわかるかと思いますが、ジャンルでいうとElectronica / IDMなどの変な音がたくさん鳴ってる音楽を好んでおりますので、たまたまこのブログに辿り着いて、且つ音楽趣向がロックとかポップとかジャズとかの人には非常に申し訳ない思いで好き勝手にランキングを作っていきます。必ず入れないというわけではないんですけど、とりわけ邦楽のポップスとかには滅相疎いです。なぜなら私はBandcampを音楽鑑賞手段の主軸としているので。

前書きがこれ以上長ったらしくなっても仕方ないんで、とりあえず本編へ行きます。



こういうのって何位まで選出すればいいんですかね。とりあえず10位でいっか。


2020 ベストアルバム 10

10. Draining Love Story - Sewerslvt

今年だけで4つもアルバム・EPを出すほどの曲の作成頻度高さも相まって、ここ最近の綺麗なブレイクコア界の覇権を握っているであろうSewerslvtによるソロアルバム。綺麗なブレイクコア界ってなんだよ(Laxenanchaosとか?)
ここ最近のブレイクコアと言うと、アーメンブレイクに対する加工具合がすごく、それほんまにThe Winstons - Amen Brotherからサンプリングされた音か?みたいなものが増えてきたが(決して悪口ではなく、むしろそれはそれで非常に好みなんだけども)、Draining Love Storyに関してはとくに複雑な加工をしている様子はあんまりなく、シンプルに純アーメンブレイクを使っていると思われる。このシンプルさが、まるで初期のBMSシーンのアートコアみたいな雰囲気があって逆に良いんですね。
youtu.be初期のBMSシーンのアートコア代表

また、今までのSewerslvtのアルバムやEPといえば、ブレイクコア以外にもシュランツやトラップなどのジャンルを1・2トラックぐらい入れてくることがあり、Draining Love Storyも例に漏れず、5トラック目にElectro Houseを持ってきた。すごいチョイスだな。

なお、Draining Love Storyはリリースから6ヶ月後、Geometric Lullabyからレコード・カセットテープといった物理媒体でも販売されるようになった。Geometric Lullabyってどちらかというとvaporwaveを中心に取り扱ってるレーベルのような気がするけど、ふつうにそれ以外のジャンルも取り扱うことあるんだな。ジャケットの色がvaporwaveっぽいから?
一年のうちに半年ほどの期間を設けて二度もBandcampのDiscover欄に現れたのだから、かなり広く浸透したのではないでしょうか。

9. Fall Guys (Original Soundtrack) - EP - Jukio Kallio & Daniel Hagström

これは単純にゲーム自体をそこそこプレイしたからってのもあるんですけど、BGMがふつうに良いし、脳裏に鮮明に焼き付いてしまった。

アッパーなテンションながらもおどけた曲調は、Fall Guysというかわいいキャラが競技においてドタバタ一位を争う光景にかなりマッチングしている。
曲のジャンル振り分けとしては、ゲームの疾走感を演出するためかFuture BassやD'n'Bなどのクラブミュージック寄りなんですけど、あくまでもポップなゲームの雰囲気をぶち壊さないようにパーカッション類はなるべく激しいものにしない、という配慮もゲームデザインに沿っていて良いですね。
…俺別にゲーム評論家でもないのにこんな偉そうな視点のコメントしてええんか。ゲームプレイするときはBGMオフにしている分際でええんか。

お気に入りはFall 'n' Roll。上記のゲームデザイン的視点に最も適合している楽曲だったし、何より声ネタが可愛らしくてハマる。あれってサンプリング素材として配布されているものなのかな。それとも自前?

8. 狂(KLUE) - GEZAN

まえがきで邦楽全然聴かねぇとか言っておきながら、ここで邦楽を選出させていただきます。なぜならBandcampで聴けるからなんですね。邦楽アーティスト全員Bandcamp配信しろ!

全体的に漂うアジアのエスニック感、それにマッチした呪術的な歌詞やボーカルが特徴のアルバム。それでも邦楽ロック特有の雰囲気も保っているからすごいと思う。邦楽ロック普段そんなに聴かないから、この辺の表現何て言えばいいかわかんねぇなコンチクショウ。

丁度これを聴いてた頃、Gorgeというモンゴルで生まれたらしい太いタムを軸にしたインダストリアル系のクラブミュージックジャンルにハマっていたので、これGorgeじゃね?とかまるで自分以外発見してない着眼点に気づいてしまったかのようなテンションになったが、作った本人らはそんな意識せずに元からこういう作風だったと思う。このバンドで聴いたことあるアルバムが狂(KLUE)しかないからクッソ曖昧な書き方になってしまった。でも10曲目とか今聴いてもGorgeだと認識できちゃうもん。

7. Far North - Nyolfen

エレクトロニカアーティストにしては珍しく、CROSS×BEATSやpolytoneなどの音ゲーにも進出しているNyolfenによる、恐らく8年ぶりとなるソロアルバム。

Nyolfenといえば、エレクトロニカに加えてTrapやJukeなどの要素もクロスオーバーさせる作風を売りとしているんですが、今作はこのクロスオーバー要素がさらに前に出た印象を受ける。

また、今作は全体的に加減速的なリズムをふんだんに取り入れており、このリズム取りにくいけど聴いてて心地良い感じが、いわゆるIDM要素もクロスオーバーしに来ていると感じ取れます。Far Northとかまさにあらゆる音のリズムが揃って加減速に乗っている感じ。IDM初心者に「IDMってなんだよ(哲学)」と問われたら、今後はとりあえずこのアルバムを紹介するかもしれない。

なお、来年の頭に開催されるpolytone主催のライブイベントにNyolfenが出演するらしいから、みんなで見ような。

6. Astral Welder - Kiln

Ghostly Internationalに所属するエレクトロニカユニットKILNによる、およそ7年ぶりとなる新アルバムがリリースされた、とのこと。ただ私はこの某レコード店による謡い文句で初めてこのアーティスト知ったので、「7年ぶり」の部分はあんまり頭に入ってくれなかった。すまんな某レコード店。いやまぁ、自分のような新規参入への布教にも貢献できているということで良いのか。

で、聴いてみたところ、これがかなり好みド直球。
主にギターやドラム隊などオーガニックな音を基調としつつ、これらを聴いてて気持ちの良いリバーブ・ディレイやパン振りに加工することで、電子音をあまり使ってないのにニカと認識できる感じが、いわゆるフォークトロニカとかポストロックに属する感じで好きです。

なんで今までこのアーティスト知らなかったんだろ。今までにリリースされたアルバムも遡って聴き漁らないとなぁ。

5. Room for the Moon - Kate NV

今までまるで歌モノを聴いてこなかった私が、どうもエレクトロニカやポストロックの雰囲気があるポップスが結構あるらしいぞと気づき、その辺のジャンルも漁るようになったんだとさ。そのきっかけとなったのがRoom for the Moon - Kate NVです。

主に木琴楽器やベル系の音を基調としたポップながらも不思議な雰囲気を醸し出す構成を、どちらかというとミニマルにまとまった展開が特徴的。ボーカルに関しても、ふつうに歌詞がある曲のほかに、ahやタラッなどの言い回し(こういうのって何ていうんですかね)で成り立っている曲もあり、これがまた面白い。まぁ歌詞がある曲でも突然日本語が出てきたりするので、「あれ!?この人日本人ではないよね!?」という突然の驚き要素もあった。何故?

ちなみにRoom for the Moonの物販ではなぜか日本限定のCD頒布がある。ますます謎が深まるぞKate NV…

4. Temporary Music - Asa Tone

今年の頭に突然現れたユニット(?)

透明感ある木琴楽器の重奏を主軸とした、ジャンルでいうとガムランに属しながらも、どこか電子音楽めいた実験的な雰囲気を醸し出している。
どうやらインドネシアで生まれた楽器であるリンディックやスリンを用いているらしい。木というより竹でできているんですな。
(5位のときからお察しの通り、私はチョロいので木琴楽器とかメインで使われていると大体好きになる)
このチャカポコした音の構成に残響系のエフェクトをかければ、そりゃあ良い感じに気持ちいい音響空間が構築されるわけですよ奥さん。

3. Decoded Sphere - Yaporigami

Hz-recordsやDetroit Undergroundへのリリースを隔て、今年ついにVirgin Babylon Recordsへ所属した、IDMアーティストYaporigamiによる所属早々にしてリリースされたアルバム。
先ほど言ったそれほんまにThe Winstons - Amen Brotherからサンプリングされた音か?というアーメンブレイクの加工をするアーティストのうちの一人ですね。何度も言いますけど決して悪口ではなく、むしろ誉め言葉として認識していただきたく。

アルバムの記載情報によると、全ての楽曲が6/4拍子で構成されているとのこと。まさにIDMですな。

このアルバムというより、主に3トラック目のTiltedにすごい惹かれたのですが、
この楽曲は元々、映像作家のKezzardrixと共同作成したインスタレーションアート用に提供した曲のようです。
youtu.be
いや、これ音合わせがすごいですな。
この曲に関しては、もちろん曲単体で聴くのもいいんですけど、この映像とセットで見ることで、やっと本質に触れられるような気がします。だいぶ抽象的な文章表現だけども。

隙自語になるんですけど、「RHYTHM-DOME 60 - II-L」を私がBGA担当させてもらったときは、7割方このTiltedの映像をリファレンスに制作いたしました。
www.youtube.com色合いとか人が歩く表現とか、ほぼまんまでしょ?

2. Be Up A Hello - Squarepusher

みんな大好きSquarepusherによる新アルバムがリリースされました。

ここ最近はShobaleader Oneという架空のバンドを結成したり、オルガン奏者James McVinnieとコラボして自身は作曲側に回るという、電子音楽から離れていってる傾向にありましたが、新作となるBe Up A Helloは、Squarepusherの主要アイデンティティであるドリルンベースを全面に出したアルバムとなっております。
アルバム全体を構成する、ギコギコベースに複雑にグリッチされたブレイクビーツは、あぁSquarepusherといえばやっぱこれだよね、これが王道だよねと頷けるサウンドとなっております。

youtu.be
また、新MVの舞台は渋谷となっております。
Come On My Selectorのときといい、Squarepusher本人は日本を舞台とすることに何かこだわりでもあるんでしょうか。

1. 古風 - 冥丁

なんか数年ぶりに本気で「エモい」と思える作品に出会えたと思います。

アルバム全体の構成としては、Lo-Fiな音作りに古き日本歌謡や和楽器などがサンプリング・カットアップされた楽曲群が収録されています。ドラム隊はVinylのノイズのみで構成されているのかな。

上記のようなトラックメイクだけでも十分好みになりうるんですが、何よりこのアルバムの強みとなっているのが、エモに溢れた展開です。
冥丁のこれまでのアルバムは、どちらかというと一定のテンションを保ったミニマルな展開作りになっていたんですけど、古風に関しては全体的に感情が爆発しています。

ちなみにこれまた隙自語なんですけど、拙作「feeling派」は古風にか~なり影響されて作りました。
www.youtube.com
さすがに完全にパクる技術が私にはなかったんですけど(完全にパクろうとはしていた)、雰囲気だけでもだいぶ受け継がれていますよね。

おわりに

とりあえずやっつけでベスト10を組んで、これまたやっつけで各アルバムのレビューを記述してみましたが、敬語だったりそうじゃなかったり、文字数がなぜか1位より10位の方が多かったりなど、全体的にシッチャカメッチャカになってしまいましたな!そのときの感情で記述したからしょうがないね。アルバムのレビュー自体割と初めてなんで大目に見てあげてください。

また、今年全体のベスト10組んだとは言え、今年リリースされたもので気になってたけどまだ聴けていないアルバムとかもたくさんあるので(KiCk i - Arcaとか、Sleep On The Wing - Bibioとか、PLUS - Autechreとか)、この辺聴けてれば、ランキング自体さらに変わってたのかなぁと、後悔に近い何かの感情を抱いております。来年はもっと最新の音楽に触れることを目標にしとう。最近Warp recordsがBandcamp解禁し出したし良い機会だべ。

今後は他の音楽好きの人による各々のベスト記事が上がってくる頃合いなので、それらも読み比べして、これわかるな~とかこのアルバムは逆に知らなかったなど、さらなるdigの糧にできると良いな~と思ったりもしています。

早く記事公開したいからクソ雑な締めになってしまった!
おわり!
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